ぜる

関心領域のぜるのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.2
アカデミー音響賞を取ったっていう先入観もあるかもしれないけど、それを差し引いてもとにかく音が怖い。

不安を煽るような音楽から始まり、そこからはルドルフとその家族たちとの穏やかな生活が描写されていく。
そんな一見平和そうな風景だが、耳を澄ますとその裏には人の悲鳴や怒号、銃声が飛び交っている。

これ何が怖いって、ルドルフもその家族たちも聞こえてないはずがないのに全くそれに関心を示さないところ。
人間の叫び声とかが常に聞こえるような状況で常に生活を続けるなんてまともな精神状態じゃできないよ…

このことからも当時のナチスの人々がユダヤ人のことをどう思っていたのか垣間見えるし、その思想がどれほど歪んだものであったのかも分かる。

観ていて何か伝えたいメッセージや意図する所もあるんだろうなとは思ったけど、それを完璧に汲むことができなかったのが残念。
解説とか読んでようやく腑に落ちるタイプの作品かな。

人間の「無関心」というものがどこまで残酷なことをさせるのかということや、また現代の自分たちに向けても警鐘を鳴らしている部分もあった。

必ずしもそうではないかもしれないけど、少なからず他人や自分を取り巻く状況に関心を持つことは大切だよね。
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