TAICHI

関心領域のTAICHIのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.5
常にチクチクとした感覚。

淡々と家族の幸せな映像が流れていくが、良く見てみると壁一枚で隔てたアウシュヴィッツ収容所の惨劇が銃声や叫び声などで聞こえてくるという、意味がわかると怖い話を永遠と観ているような感覚。

ところどころのシーンにもわかると怖い要素が散りばめられており、終始時々流れる不協和音と共に心拍数は上がっていました。

印象に残る、サーモグラフィーのシーンはまさしく闇の中に一寸の光が灯るように餓死しないように親切心で林檎を置いている。
この光景は特に面白い技法だなと感じた。

だんだんと家族間の関係性が突き放されていく中で、例えば妻の家へのこだわりや憧れであったり、ルドルフの謎めいた行為はまさに関心領域。関心と無関心の差はそれほどまでに離れており、我々も例外ではないと気づかせてくれる。「このような悲しい出来事がありました、だから教訓にして生きていこう、」ではなく、今まさにこのようなことが行われている、関心の大事さを直接伝えている映画でした。

ラストにかけてのエンドロールは鬱になるほど耐え難いものでしたが、無関心の怖さ。
これほどまでに怖いことなのだと気付かされました。
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