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関心領域のtakのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.4
この映画に興味を持って観に行く事、映画内での優雅な日常や家族の営みに何事もなく撒かれている人類史上最悪の戦争犯罪の影。
それでも映画を鑑賞している80年後の我々はこの映画の撮影技法のようにただ傍観するしかできない。それはラストシーンのアウシュビッツ記念館に無機質におかれた夥しい数の靴、メガネ、義足、遺体焼却炉、そして定期的に無機質に清掃されるガス室のように、確かに起きた事なのだが、その酷さを目の当たりにしても心理的な距離がどうしても存在してしまう現代人そのものなのかもしれない。

その違和感はガザでのイスラエル軍の虐殺よりかは、毎日のようにYouTubeやソーシャルメディアから流れてくるウクライナ戦線の様子を誰でもスマホでみられる様子やキーウの街中で普通に車が走ったり、マクドナルドが再オープンしたニュースが流れている様子を見た時の強烈な違和感に類似しているなと思ってしまった。

追伸

例の灰を一生懸命洗うシーンってどっかで似たようなシーンあったよなと思ったら、そうだよ、スピルバーグの「宇宙戦争」の最初の攻撃シーンの場面だ。また電車が火だるまになってトムクルーズ一家を横切るシーンとかも、まんま「関心領域」で虐殺の象徴であるとして汽車が走るシーンとして使われてて、結構繋がってないようだけど、イメージやモチーフの一致においては結構クリシェなものなのかもしれません。
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