あかっか

関心領域のあかっかのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.5
2024_68 ❶❼

退屈な"面白くない"映画が

あなたの関心領域を広げる


凄い作品でした。正直に誤解を恐れず言えば面白くない。綺麗な絵だけれど退屈だし、ドラマも淡々としている。なのに何が凄いのか?

それは観客への信頼。観客が何に関心を持ち、何に注意を払い、何に気付き、何を想像し、何を思うのかを委ねている。これは解釈を委ねるとは違い、考察どうこうではない。事実、過去、現在、未来とどう向き合うかの話だからだ。観客の関心領域を問うてくる、とんでもない作品と感じた。

劇場という閉鎖空間。雑音のない中で観ることを激しくオススメします!

以下、ネタバレというか何というか、あります。

冒頭から音響スゴイ!耳に刺激を与え、聴覚を研ぎ澄ませよと警告するかの様。

裕福そうな家族の暮らしを淡々と映し続ける。始終遠くに銃声と悲鳴。列車や車輌の走る音。外の景色も鮮やかな庭や青い空の向こうに煙突から立ち上る煙。

奪い取った衣服を分け合う。灰を肥料に香りの良いバラを育てる。豊富な食料ですくすく育つ子供たち。この家族が何の上に立っているのか。

知識は関心を強く持った物事にしか広がりを持たない。観ている間は自分の知識をフル活用して違和感を消化していく。理解すればするほど怒りが込み上げてくる。そしてわからない部分に関しては後から調べないとな、と関心領域が広がって行く。

この異常さは過去のものではない。今も未来にもきっとある。無くなれば良いが、きっとある。だからこそ無関心を装うこと、領域外に逃げようとする自らを律しなければと強く思った。

カナダって🇨🇦だと思ってしまうよね。調べたらそういうことなんだ!ってなる。凄い映画だ。
あかっか

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