羅武

関心領域の羅武のレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.0
アウシュビッツ収容所のルドルフ・ヘス所長一家の狂気な日常。

OPの黒塗り画面が5分続いた時にあ、これは普通の映画ではないなと気付いた。全編通じて不穏な空気が漂い続けており、すぐ隣で行われている大虐殺に無関心で自身の生活を平穏に保とうとする主人公夫妻の狂気を描いている。

映像は退屈だが美しい。脚本はあって無いようなもので、日常的風景と他愛のない会話が延々と続くので正直退屈を通り越して眠気を誘う。

特筆すべきは音響で、赤ん坊の鳴き声、銃声と悲鳴と怒号、心にのしかかるような重低音と、終始『シャイニング』の終盤のように不快な音を鳴らし続ける。

結末で、己の生活圏にのみ固執し続け無関心で居続けた主人公一家がどうなったのか、それは現在進行で世界で起こっている戦争に無関心でいる人々への問いかけとも取れる。

が、映画として退屈という感想は変わらない。
羅武

羅武