じぇんぬ

関心領域のじぇんぬのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.7
これが私たちの日常。
これが私たちのドリームハウス。

アウシュビッツ収容所の真隣に住む家族を映し出し続ける作品。

家族との団欒、友人とのパーティ、夫の昇進、夫婦間の悩み...連続してライフイベントが発生していくだけのストーリー、のように見えて各所に異質な瞬間が垣間見える。

悲鳴や銃声に慣れてしまった耳。
亡者の遺品で包まれた身なり。
遺灰で育った花々を嗅ぐ鼻。

これが彼らの日常、正義。

確実に身体と精神が蝕まれているように第三者の我々には見えているのにも関わらず、彼らはその日常を"パラダイス"と表現している感覚の違いをただ見続けるしかない。

作品の表現方法はかなり芸術点が高くて、チャレンジングで新しいカットが放り込まれる度に背筋を正してしまう程。

ラストの5分ほどは予想だにしないシーンでした。

過去は見ている、ずっと見ている。
そんなメッセージを受け取ると共に、彼は地獄絵と歩み出したのだと感じました。
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