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関心領域のyama3telecasterのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

冒頭、何分も続く真っ黒な画面に地獄のような音。これだけで「この映画は音に注目しろ」という強いメッセージを感じる。

そしてストーリーは淡々と、アウシュビッツ所長ヘス一家の日常を描くが、収容所の中のことは直接は画面に一切出ない。
その代わり、悲鳴、銃声、火葬場の稼働音、など、とにかくひっきりなしに鳴り続ける「音」が想像を掻き立てて、より一層怖い。そんな不穏な音が響く中、慣れてしまって普通に暮らす一家の異常性。

物語の途中、引っ越してくるも隣で何が起きているか察してすぐに逃げ出してしまうおばあちゃんや、泣きっぱなしの赤ちゃん、夢遊病になる娘、など、やっぱり異常な世界が家族を蝕んでいるという描写がリアル。

終盤、まさかの現代のアウシュビッツ、からのヘスが真っ暗な廊下でこちら(カメラ)を「お前らも同類だぞ」と言わんばかりに見つめる、からの、真っ暗な階段を下る(地獄に堕ちていくイメージ?)の流れ。救いがなさすぎて、一生忘れられないインパクト。

そして、ある解説を見てで改めて気づいてゾッとしたのが、「おそらくあの家、死臭すごいよね」というもの。おばあちゃんはそこも耐えられなかったのかも。死臭漂う中赤ちゃんに綺麗な花の匂いを嗅がせるグロテスクさに感服!
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