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関心領域のliryのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.5
オスカーで録音賞を獲って、必ずスクリーンで観たいと思っていた作品。

裕福で幸せそうな家族の日常が、定点カメラのような引きのアングルでひたすら映される。
その後ろから終始聞こえる不気味な音。
夜になると、煙突からは煙。
不気味さ、気持ち悪さ、不安感が105分。
そして、最後はこちらが自分の関心領域を問いかけられる。
このおぞましい歴史と現在は地続きで、私が暮らしているのも壁のこっち側だってことに気付いて絶望する。
エンドロールに至ってはもう、頭痛。
はぁ……怖かった…
観た直後より、あとになって、散りばめられた日常会話と子供たちの言動が思い返され、じわじわきて更に怖くなった。

観る人を選ぶ作品ではあると思うけど、直接的な描写を一切せずに、ナチスの虐殺を音と収容所の隣に住む家族の平和な生活で描く手法には脱帽。
音と色とアングルと、突然切り替わる映像など、作品として見事な作りだと思う。

この音と、不気味さは絶対にスクリーンでしか味わえない。
心身ともに、コンディションの良い時に観ることをおすすめします。
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