向日葵

関心領域の向日葵のレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
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人間として生きるもの、
目を逸らさず鑑賞を義務化すべき。

「関心領域」

この題名は恐ろしく的確で、
史上最悪なナチス・ドイツ政権を題材にしているだけで「人間」であることの恐ろしさ、本質を解いている。信仰心がある限り誰もがヒトラーになる可能性を秘め繰り返すということ。

アウシュヴィッツの隣に建つ家、その環境はとても豊かで子どもが安心して遊び笑い、パーティが行われる。数メートル先で行われている虐殺の様子は一切映らない。常に幸せな家庭と共に物語は進んでいる。それこそが「無関心」である日常。私たち人間の関心が無い状態というのは、気にしないとか気にならないとかそういうことじゃない【見えていない】ということ。横で人が殺されても笑えるということ。見えなければ、想像力も働かない。

警告音、真っ赤に染まるスクリーン、、
ふかふかのベッドで寝る夫人の後ろの窓には真っ黒な煙が煙突から放たれている。子どもがおままごとをする部屋では外から悲鳴、銃声が聞こえる。

この異様な光景を体感し、最後は現在のアウシュヴィッツが映し出される。確実に繋がっているこの悪夢はきっと今行われている"ウクライナ侵攻"が分かりやすい。海を渡った先で人が虐殺されている、この日本ではニュースに取り上げられることすら減り、私たちは日常を送る。旅行の計画を立てる。

欲望のために胃液を吐きながら生活をする人間、関係の無いことは見ないようにすることが出来る人間はいつの時代も恐ろしいし、そんな事を言ってる自分も見たくないものは見ないようにするものばかりで、隣の芝生に関心を持たないことが、それが大きな生きる術となっているのも事実。"動物的生存本能”と開き直るのも良いが、数年後は今この映画を見てる私たちがヒトラーとなる番、もしくは虐殺される番なのかもしれないというのは関心領域に入れておこうと思う。
向日葵

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