たか

Dear Pyongyang ディア・ピョンヤンのたかのレビュー・感想・評価

5.0
 ベルリン国際映画祭で、最優秀アジア映画賞を受賞。北朝鮮に“帰国”した3人の兄たちと、朝鮮総連の活動に人生を捧げた両親を記録した父親と娘との離別と再会、そして和解を描く感動作。
 作品を見て、ある程度理解しているつもりでいた在日朝鮮人の気持ちを、実は、全然理解できてない事に気づかされた。ほんと、まだまだ知らない事ばかりだ。ドキュメンタリーと考えれば考えるほど、涙が出てくる。やるせなさもこみ上げてくる。
 また“北朝鮮”や“万景峰号の内部”の貴重な映像が満載である。ここまで見てしまっていいの?と言う感じもする。怖いくらいだ。万景峰号の役割や、どんな人達が乗っているのかなんて、あまり気にかけた事がなかった。こんなにやるせなく、悲しい事情があるとは。
 この映画で描きたいのは、実は、北の政策云々ではなく、意見の異なる相手への接し方、相違を理解しようとする姿勢、そして、葛藤がありながらも、初心を貫こうとしている複雑な心境であると解釈している。月並みな表現だが、深い...。特に、作者の父の気持ち、まだまだ計り知れない。ただこれは、聞いて理解できる次元ではない。この気持ちを理解するには、まだ私は経験が少なすぎると感じた。
 北が核実験をした事で、在日朝鮮人や韓国人を責めようとする間違った社会を是正するためにも、皆に見て欲しい作品である。世の中、知らないが故に、加害者になっている事って、沢山あるのかもしれない。
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