スピード感満載のドタバタなコメディなのだけど、見ていて切ない気持ちも感じてしまう。
ヒロインに襲い掛かる怒涛の不幸の連続は笑ってしまうくらいなのだけど、裏を返せば劇中で彼女に寄り添う人物が次々と退場していくという事でもあり、それはとても悲しい。ファンタスティックなラストも、結局現実世界にはヒロインの受け皿はなく、幻想にしか救いの道は無かったのではとも思ってしまう。しかしこの映画の語り手が将来生まれてくるヒロインの子供というのが冒頭から示されているので、やはりこれが希望のある最後なのでしょう。
不幸や悪意が溢れる世界の中でも人に優しく寄り添おうとする作風がとても好ましい一作でした。