高校の栄養学の教師として赴任して来たノヴァク先生(ミア・ワシコウスカ)が掲げる『意識的な食事』。食べない事で人は健康になり幸せになり社会貢献にもなる。そんな怪しい胡散臭い臭いしかしない理論をぶち上げる彼女に生徒達は当初懐疑的だったものの、徐々に徐々に彼女の考えに染まり暴走してゆく。
お洒落な衣装や家具、小物…etc。色彩のコントラストの鮮やかさと寒々しくも独特な雰囲気のある画角、ユニークな劇中音楽でもって綴られるカルト宗教の成り立ち、な物語。
既存の価値観を否定し経験で裏付けた新たな価値観を刷り込み、激励や愛情を適度に与えて心を開かせ互いを競わせ監視させる。ハーメルンの笛吹きの如く若い生徒達を惹き付け盲信させて、何なら一番強固に不食を盲信する先生が沼に向かって爆走してゆくその後を追い掛ける子供達を大人の誰一人として止める事が出来ない。信念を持って信じる力の強さと怖さ。
静かに明るく不穏にそれでもトントン拍子で破滅に進んでゆく様が空恐ろしくもあり、何なら子供を心配している生徒の両親達がお手上げ状態で元凶である先生を頼りにし始めるのは皮肉過ぎて笑ってしまった。
最後の『最後の晩餐』的な画が意味深で良かったし、食事をしながら仲間をチラチラ見てポテトを小さく小さく刻みまくってゆく生徒達の食事風景が異常ながら何だか可愛くて好きでした。
ガンギマった目で教科書読み上げる様に滔々とトンデモ理論を語るエルサちゃんも良かったんですけど直後のアレはほぼ牛なんよ……………(反芻)(ドン引き)。
気色悪いんだけどセンスが良いし何だか癖になる、どっちかっていうとかなり結構好き。そんな映画でした。でも何故か反動で脂マシマシ肉添加物調味料モリモリみたいなラーメンとか滅茶苦茶食べたくなる…(食べた)