さよこ

愛にイナズマのさよこのレビュー・感想・評価

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
3.0
【もう中学生みたいな役の人がいた😇】
監督の過去作/舟を編むと松岡茉優が好きで鑑賞。

😷全体の感想
前半と後半で違う映画観てる…?てなった。
あと、監督の思想を強く感じた。怖かった。

😷モンスターカップル
ヤバい人とヤバい人がくっついちゃった感じ。観ていて苦しかった。どっちも他人としばしば会話が成り立たない。本人たちは幸せかもしれないけど、主人公は情緒不安定だし、青年は愛着障害な気がするし、もう色々怖いよ。どっちも無理だった。

😷古いタイプのプロデューサー
MEGUMIがとても古いタイプの業界人を演じていて、ちょっと見てられなかった。とはいえこの映画を撮った人も業界人だろうからきっと未だにこのタイプは生息しているんだろうな。とても2020年代を描いたとは思えなかった。そして、きっと主人公と同じ目に遭ったんだろうなと思った。そのくらい何ていうか隠しきれない私怨を感じた。とても私的な映画に思えて、観ていて少し息苦しい。

😷コロナ禍に対する揶揄
大人に喧嘩を売る男子学生を使って、DQNへの文句を撒き散らしているように見えた。バーの店主を使って、コロナ給付金の政策にケチつけてるように見えた。マスク貯金している青年を使って、マスク政策を揶揄しているように見えた。政治批判をしたくてこの映画撮ったの?

😷出演者たち
公開中の映画『黒鍵と〜』『キリエ』そして少し前に公開してた『桜に散る』の3作品だけでも、本作のメインや端役のキャスティングと被ってて、日本映画ってものすごくガラパゴス化してない?て思った。公開時期も近いし、同じ顔ぶれだと新鮮味がないし、なんか勿体ないなって思っちゃう。特に本作では主人公が尖ってるだけに、こういうスタンダードなキャスティングだと威力が半減するっていうか、思想と合ってないなって思った。

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⚠️この先、ネタバレあります⚠️
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😷主人公の実力
前半/後半を通じて主人公の実力が見えてこないから正直この作品をどう観て良いのか分からなかった。志だけは一丁前でも、スキルがなければただの戯れ事だし、せっかくお金借りれたのにポンコツなカメラを使い続けてる時点でお察しというか、本気で作品を完成させたい気持ちはその程度なんだなと思ってしまった。後半パートでは特に撮影対象に対して何の説明もせず、アシスタントに何の演出指示も出していないので、意気込みだけある素人さんのようにも見えた。むしろあのタイミングで降板させたプロデューサーはグッジョブだったんじゃないか。というか一体主人公のどの作品にセンスを感じて監督に抜擢したのか謎すぎて、全体的に色々腑に落ちないことが多い脚本だった。

😷主人公の暴力性
撮られたくない人にカメラを向けるのはもはや暴力なのよ。そしてプライベートを切り出して面白いと思えるのは当事者だけなのよ。本人にとって思い入れのある出来事でも、他人からみたら興味関心を持たない話題はたくさんあるわけで。そこに注目させる、観たいと思わせるための演出が、映像作品としての腕の見せ所だと思うんだよね。ただありのままを垂れ流せばリアルってわけじゃないし、主人公のこだわりは押し付けでしかないんだよね。助監督の言い方はムカつくけど、言わんとしてることは何となく分かる。主人公のやり方じゃ伝わりにくいから演出で補って欲しいってことじゃないのかな。そんな人いないと否定したくなるから、もっと人物を掘り下げて行動原理まで表現しないと観客たちは置いてけぼりだよ、言葉足らずな映像になっちゃうよってことが言いたかったんじゃないかな。主人公は感性が優れているわけじゃなく、感性を言語化する能力が著しく足りないだけだと思う。そりゃ降ろされるよね。

😷主人公の言動不一致
最初は主人公のいう『あり得ない人はいない』に多少の共感をしていたんだけど、終盤では父親が携帯ショップで『そんなヤツいない!』と暴れ出して、主人公が父親を止めるでも諭すでもない距離のとり方してるところに、主人公の一貫性のなさを感じて一気に萎えた。たしか助監督にも『理由なんていります?』と言っていたけど、終盤では家族に『なんで?』を連発するし、一つ一つの演技のパンチが強い分、シチュエーションは違えど真逆の行動している主人公がとても稚拙に見えた。結局、何を撮りたいのか分からなかった。

😷ちょっと何言ってるか分かんない
精肉加工工場で働く青年と主人公の会話のなかで『こんなに毎日🐄たちが解体されてるのに、みんなからは隠されてなかったことにされてる』的なやり取りがあったんだけも、別に秘密結社のように隠されてもいないし、非合法なことでもない。なんで無かったことにされてるに繋がるんだろうとよく分からなかった。あと動物の解体シーンは刺激が強かったので、そんなにしっかり撮る必要あったのかな?と疑問に思った。お肉の塊に刃物がたくさん刺さりっぱなしなのも哀しかったし、見たくなかった。

😷悪意なき善意の利用
バーの店主がとても良い人で、お酒をツケで飲ませてくれるんだと紹介しながら、自分はせっせと70万円貯金して、それを店主の前で主人公に打ち明けるところに、青年のヤバさを感じた。お金があるならちゃんと酒代払いなよ…。キミのためにこのお金を使いたいんだの前にツケ払いなよ。あとマスクの節約だけじゃ70万円は貯まらないだろうから、ルームシェアしてた同級生から家賃半分受け取ってたんじゃないかな。役者の仕事なくて悩んでる青年からさ。なんか70万円の周りにある様々なものを考えると、この人には近づきたくないなぁって。

😷家庭環境が想像できない
クソオヤジかもしれないけど、男手1つで子供4人育てるのは大変だろうし、ホントにクソオヤジなら子供の世話は長男に丸投げすると思うんだよね。けど長男はちゃんと部活をエンジョイしてるからヤングケアラーでもなさそうだし。子どもたちの態度と、想像する家庭環境が合わなくて、自分の想像力の限界を感じた。

😷その他いろいろ
・血まみれのマスクはさすがに捨ててくれ
・会話に困って一気に喋る姿がオス感あって無理
・防犯カメラまで見せて突きつけるのキモい
・キス1つで舞い上がってる童貞ぽさが無理
・もう中学生のモノマネしながら演技してる…
・主人公も申請したら助成金もらえるよね…?
・子供4人いて病弱で不倫できる女…?
・誰も警察呼ぼうとしないの義務教育の敗北よ
・父の動機は地元なら嫌でも耳に入りそうだけどね
・携帯ショップのおねーさんは何も悪くない。
・自分から母親に連絡とろうとしてないのに父親を責めるのは違くない?他責思考すぎて好きになれない
・1つのことに夢中になるのは家系だね
・恐竜の話したくなるおにーちゃん可愛い
・おにーちゃんがバカにされてる姿見たくなかった
・最後まで青年が生理的に無理でした😇

【余談】
主人公がカメラを持つきっかけであったり、映画を撮りたいと思うきっかけがどこかで描かれていたら良かったなと思った。例えばだけど『兄が演劇部で活躍してて、その様子をハンディカメラで撮ったのがきっかけ』だったり『その時のハンディカメラを今でも大事に使ってる(なので古くて不具合が出るけど愛着があって手放せない)』みたいなエピソードを想像しながら観てた。

舟を編むみたいな作品を期待しちゃった自分が良くない。
さよこ

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