女(高峰秀子)と男(加山雄三)の“距離”、私と映画との“距離”が、近づいたり離れたりを繰り返しながらグワングワンと揺れ続ける100分弱。
あろうことか、私と映画との距離がゼロ距離になったラストのその瞬間に、女と男が逆方向へと走りはじめてしまうのだから、見てるこっちからしたらたまったもんじゃない。思わず「わーーーー!!!」って叫んじゃった。
すごい。
電車内の一連の動きは自分史に語り継がれるだろうな。
塩田明彦監督の『映画術』を読むとこの映画がいかに動線、境界線等を意識しているかわかる。鑑賞中はただただ心を持ってかれるのみだけど実のところ演出はめちゃくちゃ緻密。