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乱れるのpilotisのレビュー・感想・評価

乱れる(1964年製作の映画)
4.6
塩田明彦監督の著書「映画術」にてこの映画の同線解説紹介がありました。

シネマスコープに広がる60年代の商店街!積み上げたビールにカルピス桃缶インドカレー!車!お洋服!黒電話!
ミニチュアかジオラマか?と思うほどその時代を生きてない者にとっては可愛い物しかない世界…!
男女のお話と共に映されるその時代の商店街の生活や粋な会話(スーパーをスーッと出来てパーっと消えるとか)も楽しい。

最早絶滅してしまった類の女性、姉さんは戦中結婚し半年で夫を亡くし18年お店を続け大きくしてきた。感謝しているといいつつ義姉妹(その時代の近代女性らしくツンとしててこれまた良い)と優柔不断な姑は再婚を提案する。奔放な加山雄三は麻雀酒女、好きだと言ったりこの家の犠牲になったと言われ、心を乱される。
塩田監督の解説を見たからなのか、ただこの時代の風景が可愛いのもありシンプルなお話が目を離せないほど面白かった。終わりは悲しいけど。

昔の女性の立ち振る舞いや言葉の発し方に見惚れる。今の時代の女性が自立したのではなく、それぞれしっかりと立ち生きる点では変わらずむしろ失った美点を残念に思う。
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