Yuya

四月になれば彼女はのYuyaのレビュー・感想・評価

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
4.5
『億男』の映画が好きだったんですよ。
近しい人が行方をくらますその理由はって言う。
敢えてなのか、今作の原作と主人公が同じタッグなので、加えて予告編で聞いた主題歌のサビにノックアウトされて見に行きました。

客席の年齢層を眺めると、映画の内容のターゲット層ズレちゃったのかな?
わざと下品な言い方させていただきますが、アホなカップルとか脳みそ空っぽの人が観にくるような内容ではないと思う。
見えないけど確かにあるものを感じようとすることができる人に見て欲しいし、感想を聞きたいな、と上から目線で言っておきます。すみません。

原作の時点では万人に受けようとした訳でもない話を、映画化の段階でキャスティングをだいぶ商業的にこねくり回したのかな…という片鱗も感じられた気がします。
登場人物はそこそこいるのに、薄っぺらいというか、もう少し背景や設定を描いてほしかった。

でも雰囲気とか柔い感じの光で見せる映像美(もうちょっと見たかった)、伝えたいメッセージ性は個人的にはとても好みでした。

一緒に歩いていて人の波に呑まれた時、ふと視界から外れていなくなった時。
“あれ?どこ行ったの?”と不安になる一瞬。
気がつくとまた足並み揃えて隣りを歩いている、その時にほんのひとときの怒りとともに安心する気持ちがあったりして、自分のコントロールできない気持ちにもどかしくなる。
そんな、映画を見た帰り道の経験が重なりました。

原作読んでみようかな。素直にそう思いました。
それから、デートムービーとしてこの作品を見に来た若い子や多くの"これから“の可能性を持つ人たちが、愛や想いは薄れてゆくものなのではなく、重ねていくのを続けていく、それが大事なのだということと、その尊さに気づいてくれたらいいな、とも思いました。
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