マインド亀

グランツーリスモのマインド亀のレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
3.5
最高のレース映画!でも期待するブロムガンプ味が薄い

TOHOシネマズ二条IMAXにて鑑賞

●いや、面白かったです。ドルビーシネマで感触しました!これが意外と真っ直ぐで熱いスポ根ドラマでしたね。主役のヤンの成長と栄光に焦点を当てシンプルにストーリーを運んでいますね。この辺はニール・ブロムカンプの「熱い」部分、例えば『イリジウム』とか『チャッピー』などの、底辺の存在やちっぽけな存在が起こした騒動が世界を変えていったようなストレートな「熱さ」を感じました。

●惜しむらくは、多分私だけですが、思ってるよりもまっとうなレースムービーだったということですかね…
なんというか、ニール・ブロムカンプだったからこそ、もっと変なことをしてほしかったというか、価値観がひっくり返るくらいのトランスフォームが欲しかったというか、シミュレーションゲームの特性を活かしてほしかったかな…ということですね。まあ、実話ですから、変なことのしようがないかとは思いますが…

●また、もっとドラマチックにできる余地はあったのかなあとも思います。もっとイケるよ!ニール・ブロムカンプならもっとまとめられたよ!と思ってしまいました。
とにかく、ヤンとソルターの擬似父子的なストーリー以外のキャラクターが希薄過ぎですかね。チームメイトも誰が誰かわからないままでした。彼らにもチームとしてのストーリーをもう少しあれば良かったと思うし、ましてやグランツーリスモ開発陣の想いもあったのではないでしょうか。また、発起人であるダニーにも、なぜここまでグランツーリスモに持っていかれてしまったかのドラマがあるはず。それぞれが最後のゴールに賭けたドラマがあったはず。もう少しコンパクトにそれらを見せていければ、最後のゴールももっと熱くなれたような気がします。

●そういえば、誰をグランツーリスモのレーサーにするか、ダニーとソルターの意見が分かれた時、ヤンが選ばれた時のやり取りが全くなかったですね。どうやってダニーを説得したのか、など最後に種明かしをするのかな、何らかの伏線になるのかな、と思ってたら何もなかったですね。ストーリーの最後に、ダニーを説得したソルターのセリフが、感動のさらなるブースターになるとか、もう少し畳み掛けることができなかったんでしょうか。

●また、実際に人が死んでしまう大事故ですが、まだそんなに時間が経ってるわけではないので、これがヤンの成長のジャンプ台になってるのも少し気になりましたね。この時、このショックな出来事に辛い思いをしたのはヤンだけではないはず。ソルターやダニーだけでなく、グランツーリスモ開発陣にとっても、この大事故についてはどういう対処をしたのか、しなければなかったのか、などを見せるべきだったのでは…と思ってしまいました。

●あ、あと、オーランド・ブルームが、なかなかの怪しいオッサンになってて良かったです。今年5月にコミコンで本人を見たのですが、やっぱり甘いマスクでしたし、こんなオッサン感はなかったですよ!

●色々と書きましたが、レースムービーとしてはわかりやすく、熱い映画であることは間違いありません!レース中のドラマも燃えます!スーパマリオに続く大ヒットゲームムービーを大音響の映画館で観ない手はありません!是非観てください!
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