このレビューはネタバレを含みます
間違いなく当代最高のノンフィクション映画。
使い古された言葉しか思いつかない自分がもどかしいくらい。5点が満点評価でも、もっと星を付けたい。
あれこれと感想を書くことすら野暮に感じるくらい心が動かされる。確かにこれは映画館で観るべき作品だと感じたし、持病の所為でそれを叶えられなかった自分がとても残念だ。
少しでも理解し難い箇所があれば作品への没入感が薄れそうなレースのシーンは、自動車競技への知識がなくても楽しめる様に構成されている所に膝を打った。レースシーンの使い方が非常に上手い。
レースシーン以上に焦点を当てられているのが人との関わり方の変化だ。とにかくここが熱かった。
家族や友人、トレーナーとの師弟関係を築いて行く様子、浮かんでは消えるライバル、自分だけじゃない知らぬ間に大勢の人の夢を背負って走ることになる終盤、座って見ていることができない程に興奮した。
しかも名言揃いだ。観終わってもその余韻に浸りたいし、またそこに戻りたくて観る。
特に、主人公のヤンがトレーナーのジャックに影響され始めている台詞に敬意を感じて胸が熱くなる。
作品の描き方や見せ方、キャスティング、全てが最高だった。
主人公のスタントを現実のヤン本人が行ったことや、寿司屋の職人としてグランツーリスモの産みの親である山内さん本人がカメオ出演していることも含めて。
そして、ニュースでアカデミーの話を知った時から「そんな映画みたいな!」と思っていたら、本当に映画化されたことにも感謝している。
ゲームやレースに興味のある無し関係なく勧めたい作品。
(余談だが。前半、知識があっても体力がないプレイヤーたちを見て、自分の怪我を思い出した。
かつて国内競技のオフィシャルなどで公式戦に少しだけ関わり、その合間にジムカーナの練習をしていた時に左肩を脱臼した。仕事柄、体力には自信があったが、床までアクセルを踏んだ後のミラージュRSやランサーエボリューションの横Gを舐めてた。シフトチェンジする腕が動かし難いし何より痛い、バケットシートで身体は保定してる筈なのにと驚いた。まさか映画で思い出すとは。)