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瞳をとじてのmasososoのネタバレレビュー・内容・結末

瞳をとじて(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

22年前、映画の撮影中に突如失踪した俳優フリオ。その映画の監督をしていたミゲルが当時を振り返るドキュメンタリーに出演することから事態が動き出す。

前半部分は典型的なミステリーの体。様々な人物と過去を懐古しながら人物へと迫っていく。アッとするような謎が解明されるということはなくテンポもゆったりとしていてミステリーとしての魅力は残念ながら感じられなかった。ここまでなら凡庸な作品として捉えていただろうな。
だけど後半は素晴らしい出来だった。記憶を失い老人施設に流れ着いていたフリオとミゲルの触れ合い。実娘アナと交わすまなざし。
この作品自体と劇中に登場する『別れのまなざし』とのシンクロ。
前半部分の解釈も変わってきた。ミステリーではなくフリオとその周辺の人物たちとの物語を作り上げるプロローグだった訳だと。

印象的なカットが多かったのも魅力だったな。
一番好きなカットは施設で漆喰塗りをする旧友2人の姿。はためくシーツの姿から覗く親父2人の背中が妙にしっくり来たんだ。
その後漆喰まみれの2人を交互に見るシスターの表情も良き。
それから何度も挟まれる正面から人物を捉えるカットは嫌でも“まなざし”を意識させられた。その人物の瞳の奥にある感情を読み取ろうとコントロールされた感がある。
ラストでフリオの表情を伺うアナとミゲルのまなざし、フリオのまなざしはじっと自らが演じるスクリーンを捉えて、そして瞳をとじたね。あの時彼の記憶は呼び起こされていたのかな。

メモ
海辺の片隅
「ライフルとポニーそして私」
船の上のワンコが帽子を逆さかぶり可愛い。
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