いつもいっちゃん

瞳をとじてのいつもいっちゃんのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
5.0
ビクトル・エリセ監督、31年以来の新作。
31年、自分は生まれていない期間、、、

ひたすら映画に満たされるような169分。
物語はシンプルながら、ひたすら丁寧な語り口で余裕をもたせた構成。
長尺の意味がそこにある。
失踪した俳優を探す映画監督。
記憶を辿るかのように、様々な人間の元に出向きながら仕事仲間でありながら旧友の彼を探し続ける。
映画は永遠に残り続ける記憶という素晴らしい結びを丁寧に豊かに映し出す。
淡々としつつ確実に近づく面影。
大きな出来事は無いが、何故か惹きつけるものがある。
キーポイントになる物にも記憶の影があるのも一種のミステリーのよう。
冒頭の未完成の映画の一部と、映画監督の物語、ラストの未完成の結末が結びつく展開は見事。
ある意味3幕になったような作りであり、ラストシーンはもはや完璧としか言いようがない。
映画への慈愛に満ちた名作であるように感じました。
映画を共有する場面は、ある意味映画を観ている自分たちの地続きの光景であり、またその映し方がとても感動的でした。
正に映画館だからこその作品がまた生まれました。
映像の美しさ、上質な作品クオリティに大満足。