眠れないよ

瞳をとじての眠れないよのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.0

シーンの切替時、瞬きをするようにゆっくりと暗転するフェードアウトが多い。ものを見るとき、私たちの眼は数えきれないほどの瞬きをしていて、何度となく景色は暗転しているはずなのにそれに全く気がついていないことに気がついた。瞳をとじる、という動作は私たちの生活の中で欠けることなく在り続ける。その一瞬の繰り返される暗転は、日々の瞬間、私たちが過ぎ去った過去や目の前にいない他者を思う一瞬の総数と限りなく等しい。

自身の映画のオマージュのような旅路。オマージュを超えて映画の中を生きてきたような男。ラストシーンの男と少女、こちらを覗くまなざし。映画はいつも私たちを観ている。私たちはまなざすことでしかスクリーンを見ることはできないが、瞳をとじて、いつも映画を思い出して生きてゆく。
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