キモサベ

瞳をとじてのキモサベのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
3.6
いやぁ~、つくづく思いました
『映画って記憶』そのものだと
だって、“瞳を閉じれば”、浮かんでくるのは・・・ねぇ

解説によるとヴィクトル・エリセ監督、実に“31年ぶり”の長編映画となるそうです
首を長~くして待っていたこっちの身にもなってもらいたいです
ろくろっ首になっちまいました
・・・ですから“当然の出来”・・・と受け止めておりますです、はい

冒頭“記憶”と書きましたのも、本作のテーマが記憶そのものでしたし、自分にとっては「ミツバチのささやき」(1973年)や「エル・スール」(1982年)の記憶がよみがえってきたからです

後で知ったのですが、「ミツバチのささやき」の“あのお嬢ちゃん”アナ・トレントが出演・・・って、言われたってねぇ あれから50年ですよ

前置き長くなりました では、本題に
“元”映画監督ミゲルにテレビ番組「未解決事件」の出演オファーがきます それは22年前ミゲルが監督をしていた作品で、親友でもあった主演男優フリオが突然失踪し、映画が未完成のままお蔵入りになってしまった事件について語るという企画でした
未だ行方知れずの彼、これを機にミゲルは旧知の関係者を訪ねて回ります

観ていてまず、感じたのが
・ミゲルの作品は未完となるのは仕方ないとして、なんでミゲルまでその後監督を辞めちゃったのか? (実際海辺の町で半農半漁の自給生活で、翻訳の仕事かなにかしている様子が見て取れます)
・それと、先に書きましたように「ミツバチのささやき」のアナ・トレントをわざわざ出演させているのか?(50年前の子役ですよ、こっちだって言われなきゃ、わかるわけないじゃありませんか)
・そして、22年前当時の映画製作への“郷愁”と言いますか“未練”と言いますか、そんなシーンが端々に感じられるのはなぜ?・・・です

ミステリーにもサスペンスにも発展しそうなこの展開が良いです

・・・で、遅ればせながら匂ってきました
『これってヴィクトル・エリセ監督さん、自分のこと?』・・・です

結局、映画はこの「未解決事件」が放送されたことで、彼らしい人がいるという情報が入り・・・ここからはギアが加速され、さらに展開は面白くなります
これ以上は、自分などがお話するのはもったいないので“おしまい”にしましょう
ただ、ぜひヴィクトル・エリセ監督さんを“投影”させてご覧になることをお勧めします 自分もその視点でもう一回最初から観たいくらいです

【追伸】
31年ぶりって、一言でいいますけど監督さん、いったい何して食ってきたのだろ? 不思議だ 脚本とか大学で教えるとか?
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