豚肉丸

聖なる儀式の豚肉丸のレビュー・感想・評価

聖なる儀式(1974年製作の映画)
4.6
ユダヤ教が異端認定されていた16世紀メキシコでユダヤ式埋葬をしていたことがバレた家族が、教会によって逮捕され拷問を受けるお話。

とにかく徹底した無情感が素晴らしい。徐々に身も心も苛まれていく家族の姿が痛々しいし最後のオチはゾッとした。
ユダヤ式埋葬をしていた、というただそれだけの理由で幼い娘まで拷問を受けて狂っていく。 一方で主人公である父は改宗したように見せることで教会側に入り込み、なんとか家族を脱出させようと試みる。 このように物語的な展開はあるものの、終盤になるにつれて冷酷さと残虐さが増していくのが本当に恐ろしく、正直終盤の印象しか覚えていない。それぐらいにラストは強烈で冷酷無慈悲。
ただ、この内容で2時間は長いようにも思える。退屈な場面も多く中盤は目に見えてダレていたのが気になった。

けどそれでも物語全体に蔓延る歪な空気感は素晴らしく、観客の気分をどん底に落とさせるには最高な演出だし、この映画が実際の裁判記録を基にしたという事実もより気分を落とさせる。 久しぶりに「嫌なもん観てしまった…」って後味が味わえた。あ〜〜最悪……

てか観てる最中ずっと「これ『The castle of Purity』に雰囲気似てるな…」って思ってたけど、やっぱ調べたら同じ監督で驚いた。アルトゥーロ・リプスタイン監督のこの徹底した冷酷な展開が好きなので色々調べてみるか…
豚肉丸

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