この手のジャンルでどうしてもハイライトになるのはパートナーとの口論シーン。
本作では穏やかで余裕があるっぽい、そして言語化能力も高いっぽい男の口撃に注目。
大きな声とかは出さないし強い言葉は使わず「お互い～だけど」と言った上で相手に反論させないように責めてきて気持ちを萎えさせる。
いつも防御力を上げてから攻撃してる様に見える。
お母さんのことなど自分が言われたくないことは先回りして自分から言う感じも天晴れ。(よく考えたらそんなことしてもどうせ言われるだろと思った)
対話ではなく相手を論破しようと思うことの愚かさを随所で感じることができる。
相手に非があると思ったら
「とりあえず謝ろうか」
「ごめん」
謝らせた後は質問責め。
「何が？何について？何でまた山梨行ったの？」
そして「黙ってるっていうのは一つの返事になっちゃうんですけど」というゲボ以下の最低最悪のパンチラインがあった。
キレると敬語を交えて責めるとか半笑いとか基本も抑えていて感動すら覚えた。この隠れマッチョな感じは反面教師として強く記憶。
対する門脇麦にしてもこういうモードになっていたらもう関係の修復は無理なんじゃないかと思った。
しかし不倫相手が死なずに関係性が悪化したりして別れてた場合どうなったんだろうと気になる。
仕方なく妥協して歳を重ね夫婦として体裁を整えていったらいつの間にかパートナーとしてしっくりくる様になった…というパターンもなくはないような。
まぁ映画内の門脇麦の表情を思い出す限り無理か。
『わたし達はおとな』より笑い所が多く、今一緒にいる人に電話代わってもらうくだりなどは特に面白かった。
この古舘寛治最高。
短い尺ながら登場人物それぞれの人間性が浮かび上がってくるし、その後のこの人達も追いたくなる。
『わたし達はおとな』同様に男性は今後も本質的には改善できなそうな気もする。
