ルイまる子

哀れなるものたちのルイまる子のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
ああ〜もう最高最高!
Perfect daysは神の領域だったが、真逆の悪趣味だが、リアリティありで尚且つ現実にチャレンジする神の領域の大傑作!しかし、女の理想ですね〜

「父権」の描き方も素晴らしい。マッドサイエンティストの父にウイリアム・デフォー(私的には『プラトゥーン』の俳優さんなのだが今や怪人になっています)、「支配」に抵抗するのではなく、一旦受け入れ、その中での生き方そして許可をもらって旅立つ圧倒的な自由さが素晴らしいね。

【ネタばれ】
閉じ込められた船上では最高にインテリなおばあさまと仲良しになり何処にも行けない代わりに知を鍛える。娼婦の仕事をクリエイティブにポジティブに!同時に医学生でよく勉強もし、身体の持ち主の自殺の謎も解明し、憎っくき男を殺すのではなく「進歩」させる!最後に作る家族は所謂しんどい血縁の家族ではなく、気に入った人たちの共同体。気持ち悪いゴシック調美術も、ヴィクトリア時代の美術、エマ・ストーンの素晴らしい演技も、全部好きだった。

追記: 『メアリーの総て』2017年の映画参照。あの傑作『フランケンシュタイン』をメアリー・シェリーという18歳の作家が書いたが、19世紀では女性が書いたとは世間に公表できず、夫が書いた事にされていた。さて、本作では、フランケンシュタインゆかりの名前が出てくる。これは、フランケンシュタインそのものの物語、そして、そのメアリーの置かれた立場、女性蔑視、男性中心主義、の暗喩だろう。
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