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哀れなるものたちのUのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

個性的なキャラクターばかりで共感しづらかったり、どういう感情でその行動をしたのかわかりづらい部分がちょこちょこあって気になったが、世界観や映像表現、画面のデザイン性が高くて見ていて勉強になった。また、もしベラみたいな人がいたらどういう成長の過程が見られるのかという今まで考えもしなかった事を考えるきっかけになった。 


ストーリーに関して、はじめは博士もベラも暴力的で狂ってるし、家政婦も感情を読み取れないし、新しい助手もベラに好意を抱くなどなぜ?と思うシーンがあって全員意味わからない変わった人にしか思えなかった。
ベラに関してはベラが本を読み始めてだんだん成長し幼児の心から大人の心に変わってからは共感できることが増えていった。
新しい助手はなぜそこまでしてベラに惹かれたのかがわからなかった。最終愛情深いいい人ではあったが。

最後、なんで元夫はヤギの脳を移植(多分)させられたのか?移植せずとも命が助かるかなぁと思ったけど。


映像表現に関しては、ベラが博士の家に半分閉じ込められていたときはモノクロで、ベラが新しい世界を見始めたところからはビビットなカラーで描かれていてその表現が良かった。
また、冒頭の方は特にベラの奇妙な行動や、ベラの幼児的な視点を強調するように超広角のレンズで撮られていて、絞りも小さくボケが大きくとられていて興味深かった。また中心から離れるにつれてボケが中心から円状にぶれているように見えて、フィルターか何か使ってるのかなぁと思った。また後で調べてみたい。

実在する都市の名前が出てきたけれど雰囲気ば大きく違っていて空の色やまだらな雰囲気がアートのようでフィクション感が増していた。

ファッションがすごく良くて特にベラのドレスは個性的だけど素材感やデザインが凝っていてすごく良かった。

各章のタイトル等に使われているロゴのデザインセンスが良かった。邦題もそれになぞられてデザインされていていいロゴだった。
クレジットに関しては同じロゴが使われていて、額縁のようにぐるりとフレームの内側に書かれていて斬新だった。
クレジット中の映像もセットの美術を見せていて、長いクレジットの時間もずっと見たくなるようなものだったので、そこでいかにこの映画で美術に力を入れていたかがわかった。
ただ、クレジットは2種類のロゴを交互に織り交ぜていて、同じ内容が複数書かれていたり向きが変わっていて、整然と並んでいるけれど見にくくて若干ストレスだった。割り切って読むのをやめれば良かった。

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Web記事参照:

撮影監督ロビー・ライアン
(『カモン カモン』『わたしは、ダニエル・ブレイク』)

フィルム:コダック35mm
カメラ:ARRI ARRICAM ST
レンズ:主にZEISSの16mm用ズームレンズ
映写機用のペッツバールレンズ
→中心にフォーカスをしぼりながらも
背景のボケが渦巻き状になるという効果を生む

円形の映像は、イメージサークルの小さい16mmフィルムカメラのレンズを35mmフィルムカメラで使うことでできるケラレを、登場人物の感情を表す効果として使った。
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