フジモト

哀れなるものたちのフジモトのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
これ!これ……!!!



仕事やほかのことでゴタゴタしだすと、映画を観ない期間ができたりする。
そして、ほんとうに不思議なんだけれど、そういうときにたまたま観た映画が、そのときの自分が観るべき、自分に必要な一作だったりする。
だから映画ってやっぱり素晴らしいなと思う。

指原さんが「すべての女性に観てほしい」とコメントしていたそうで、まさにそのとおりの作品でした。
いい意味で隣に人がいることを忘れて観てた。
まだ1月だけど、わたしのなかで2024年いちばんの映画になるかも。

公開後初めての週末なのに都内の映画館でもガラガラだったことが悔しくなるくらい圧倒された。
ストーリーに沿って詳しく感想を書きたいけど、今はこの作品を気になっている人がいたら絶対に観てほしいから、そのことだけ書いておく!



***ネタバレ追記***

鑑賞後しばらくして、感想がすこし整理できたので追記したい。

この映画の前半は、観ててちょっとイヤになる。
スケベ親父に騙されて、あっさり身体を許してしまうシーン。
この場面を極めて不快に思うのは、私自身が自分本位な男にいいように利用されることを極端に怖れているから。
性的な目的のみでしかもそれを隠そうともしない男に言い寄られると、プライドの高い自分の場合それだけで自尊心がひどく傷ついてしまう。

ところがベラの場合は、知らないこと教えてくれてありがと〜♪だ。
身体目的の男に騙されて、一文なしになって(実際は違ったけど)娼婦堕ちって、およそ一般的な女性からすると転落以外の何ものでもなくて、想定しうる最悪の人生でさえある。
それがベラの場合はどうかというと、彼女にとってはなんとすべてがキャリアアップになってしまった!
好きでもない男と寝るたび知見と自由を得ていく始末。

だとすれば、わたしだってそういった裏切りや薄情を怖れる必要はどこにもないのではないか?
真心を期待するのではなく、相手がどのような行動に出ても自分はそれに対処できると信じることができるなら、あるいは。
世の中に必ず一定数は存在する「女を利用するヤギ男」に対する恐怖を克服する方法をベラが教えてくれたように感じた。

※ヤギ=欲望の象徴

ベラの服装、序盤はバカバカしいほどスリーブがデカいんだけど、段々とマトモな服装になっていくのは、スリーブの大きな衣装=お人形・男性の所有物としての女性っていう表現なのかなと思った。
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