もやし

哀れなるものたちのもやしのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
なんか、ヤバくね? この映画 笑
天才肌の監督なんだろうなとは思ってたけど、ここまでの人だとは。
でもこの映画の一番の凄さって単純に脚本なのよね。そこは監督はタッチしていないから、割とこれからは自分が描きたいものを脚本家に委ねる感じでやっていくのかな。
とは言っても世界観は全て監督のさじ加減次第なわけだから、やっぱりすごい。


しかしこんな狂ってる映画をシネコンでやってくれるのは本当にありがたいことです。

エマ・ストーンのファンやってる方はファン度が試されますよ笑
私はバードマンでちょっとルックスが好みで、ラ・ラ・ランドで惚れて、インタビュー映像漁ってどんどん好きになっていって、今回の映画を見て一気にその気持ちが萎みました笑
もう彼女の演技力「のみ」に惚れてる人じゃないと絶対について行けない。逆に言えば彼女の演技力に惚れてた人にとっては大好物なんじゃないかな。


たぶんこの映画のレビューって、表層的なアプローチで書こうと、内面的なアプローチで書こうと、本気で書けば余裕で2000字行くと思う。人によっては3000字?笑

だからまあ私は適当に書きますが、コアな映画オタクの方はマジで必見ですよ。こんな凄いもの中々お目にかかれないです。新年になってから数々の映画が既に名作扱いされてますが、これはレベチです。映画史に残るレベルです。
まあもちろん何も急ぐことはないので配信待つのも全然ありだと思います!



冒頭いきなりフランケンシュタインの外見の解剖医が出てきて、もうこれ絶対おもろいって思いました笑
自分の体の構成についてめっちゃ理屈こねてるの笑う。いや笑っちゃいけないんだけどね。

てかこのシーン笑わせようとしてくるシーン多すぎる… 個人的には笑った回数かなり多めでした笑


まあ要は話としては妊婦の女性が自殺未遂で倒れてて、自殺するぐらい辛かったんなら生き残っても辛い人生が待ってるだろうという勝手な思い込みで、博士の私的な実験体としてその赤ちゃんの脳をその女性に移植するというもの。見た目は大人、脳は赤ちゃん。


時間とと共に精神的に成長し、次々と知識を取り込んでいく。その過程がいちいち笑えるんだけどね。精神が幼いまま世間に身を置くから、浮いて浮いて仕方がない。
でもたまにそれを面白がる人もいて、語り合うシーンはとても楽しい。

本とかで知識は簡単につけていくんだけど、絶対的に実体験が足らず、毎度本人は大きなショック、驚きをもって受け止める。
そしてその経験により感じたことをありのままに表現する様がとても清々しくも面白い。

だからと言って彼女が仙人のようになる話では全然ないので、まだ世の中の本質的に暗い側面に肉薄しなかったのはちょっと残念だった。
でもその分社会に対してとても肯定的で、芯の強い女性に成長したのでそれはそれで魅力的なオチだなと。


登場人物皆一風変わってて無駄に小難しい表現と汚い言葉のギャップがとても良かったです。
そしてストーリーの単純な娯楽性とそれに潜む内面性の融合の素晴らしさには、もう感動の一言です。
もやし

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