Jellyfish

哀れなるものたちのJellyfishのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
「聖なる鹿殺し」、「ロブスター」のヨルゴス・ランティモス が、相変わらずのヘンチクリンな世界観で、人間の哀しさと残酷さ (そこに男も女も関係ない) を描いた作品。喜怒哀楽全ての感情を詰め込んで2時間20分一気に語り切る。

無垢なるもののグロテクスでエロティックな成長譚というと「悪い子バビー」を思い起こすし、白痴が天才的な頭脳を獲得する話というと「アルジャーノンに花束を」を思い起こすが、本作はどれとも違う作り上がり。
魚眼で捉える異世界の広がり、モノクロとカラーの使い分け、独特な衣装と美術に壮大なセット。様々な手練手管で、ストーリーのみならず映像面でも見るものを飽きさせない。

分かりやすく Well-made でありながら毒気満載で、爽快感のあるバッドエンド、という稀有な作品になっている (そういう意味では最近の「Saltburn」に近い味わい) と思う。間違いなく三つ星級。
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