おすし

哀れなるものたちのおすしのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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おもしろかった……

……おもしろかった…。

知ること学ぶこと体得すること
そのプロセスの根本のようなお話

睡眠、食、性、金、地位、独占、旅、支配、生きるうえで把握しきれないほどたくさんの欲に囲まれているなか、ふつふつと生まれ出るほやほやの好奇心や知識の力(欲)をじっくりじっとり浴びられて感じたことのないタイプの元気が出た。
「賢い」ってどんな腕力よりも強くて優しくて怖い。

ベラが旅先で出会う人達の言葉や振る舞いに影響を受けるのも暴れるのも面白がるのも理解できないのもうんうん考えるのも(あの魂爆発しちゃったみたいな踊りも)その過程がとても愛おしかった。

"自分自身"

"進歩"



---以下ネタバレとぐっちゃぐちゃ感想メモ---




あー、一筋縄ではいかない美しい画面ずっと見ておきたかったな。
夢と現の、眼鏡を外した時のような景色。
ぼんやりはっきり淡い世界、見たことあるもの無いものがまざった世界。海、雪。色。
紛れもなくR18なのだろうけど、小さい頃に観てみたかった(小さい人たちに見せたい)気持ちと今までの自分の人生の答え合わせを強行的にさせられてる気持ちが同居して楽しい時間でした。わはは。
いやしかし変な生き物も実験室も手術もテンション上がるよねぇ。。

登場人物全員かわいかったし衣装も街もはちゃめちゃに良かった。とっちらかった脳内を見てるようだった。
青色がすきです。

服の広がりや色、生地、組合せもベラのその時々の状態を表してるようだった。
固く大きく守られたゴッドとの生活の服(裸足)→薄く柔らかく、しなやかな白→冒険での鮮やかなちぐはぐ組合せ服(ヒールも履けるぞ)→船での(他者(理解者と対話、自分では関われない(救えない)他人)や知識との)出会いでは華やかなドレスを→娼館では一度0になって(解放と束縛)オーガンジーやシフォン生地、紐。殆ど裸で見つめ直す→友人と出会い、話し、触れ合い学校にも行きやりたい事を見出していくパッキリとした黒の美しいコートで首までしっかり覆って→真っ白ウェディングドレスと顔を覆うレースから一変、歪んだ支配と暴力、自分ではない誰かから窮屈で極端な生活を強いられる黒とオレンジ攻撃的で硬いドレス→おうちに帰る、シンプルな装い→"進歩"の先にあるリラックス、バカンスモードな装い

それからぐんぐんのびる髪も。
終盤束ねられてたのは自我や経験や知識を制御(整理)出来るようになってきたことの表れなのかなぁとぼんやり思いつつ。

読んでた本を海に投げ捨てられてもすぐに別の本をマダムから渡してもらえるシーンすごく好きだった。またすぐ捨てられるけど。
ひとの知りたい気持ちを他人が簡単に取り上げることは出来ないのよね。

知識欲や発見する力、探究心をもつものともたないものの対比が怖かったな。
知りたい子はかわいがられるよね。。

席を立って劇場出る時(0時前)私はとてものろいので案の定最後の1人になって、なぜかどこも閉められていて開くか開かないか分からない分厚い扉が3つ目の前にある状況。めちゃくちゃ怖かったの含めよかったな。


ひとりで観に行くのがいいと思います。
おすし

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