やまつ

哀れなるものたちのやまつのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
面白い…!!!希望的でアンチテーゼはありつつ心地よく終わらせない感じが良い…!!
フランケンシュタイン博士がマイフェアレディ化させようとする話ではない。そんな受動的で閉塞的人生を早々に切り上げ、ピュア性・淑女性を求める男たちを尻目に自由と探求の冒険を続けるベラは清々しい。自分の身体は自分のもの。善意と献身だけで生きられない矛盾も自分のもの。激しい情事を繰り返そうと、誘拐されようと雪の中テラスの下で泣き叫ばれようと狂われようと、別に恋になんか落ちねーよ?というアンチロマンスが痛快で笑った。マークラファロが情けなさ過ぎて面白い。
そう観られたら自由と希望に溢れた美しい物語、で良かったが、不気味で残酷な、立派な「哀れなるものたち=人間」に育ってしまう結末。噛んだり噛まれたり、きっかけの度に「血」が出現するのもそういう獣性をはらんでいる意図か?
エンドロールで浮遊感のある歪な音楽、空間に隠されていた人間の部位や動物の装飾を映すことで、間引かれた不気味さを増す。我ら人間は残酷な獣に違いない、と突きつけられた感覚。
ベラの衣装がアイコニック且つこれ以外考えられないくらいフィットしていると思った。アバン映像や背景美術が凝りに凝っているにも関わらずちょっっとしか見せない、その冷淡なクリエイティブがなんか不気味で、作家性が現れている気がする。
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