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哀れなるものたちのbenikoのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
好みの映画ど真ん中。

自ら命を絶った妊婦が博士にお腹の胎児の脳を移植されて蘇生する。

この設定で、贔屓にしているヨルゴスランティモス 監督が新作を撮る!と聞いた時から大変楽しみにしていた本作。

次々に公開されるビジュアルや情報に期待値は上昇するばかりでしたが、その期待を更に上回る怪作にして傑作でした。

適材適所のキャスト、ベラの序盤のアンバランスさなどを絶妙に表現した美しい劇伴と衣装、ベラが初めて見る新しい世界を壮大に広げるシュルレアリスムのような芸術的セットと映像。

胎児の脳から急速に成長し、貪欲に知識を吸い上げ、段々と変化していくベラを演じるエマストーンのダイナミックな演技とグラデーションも良かったです。

そして思っていた以上に18禁。

脳は子供のまま成熟した大人の体を持って、羞恥心も判断力も倫理観もなく”熱烈ジャンプ”に出会ったら、夢中になってしまうのは自然な流れなのかもしれません。子供の頃にハマった遊びって何度もやってしまっていたし、ベラにとって楽しかったのは人形遊びでも昆虫集めでもなく、”熱烈ジャンプ” だったというだけ。

だから結構多い18禁シーンも、ねちっこいいやらしさを感じずどこかさっぱりしていたように感じる。(獣のおじさんの笑いどころも用意してくれていた笑)

いざ、ベラが冒険に繰り出すと、大丈夫だろうか…と保護者のように見守っている自分にまず気付く。この時点でもう監督の手中に落ちてしまっている。

しかしベラは逞しい。

いきなり大人として社会に飛び込んだ真っ白なベラは、他人が決める善悪ではなく自分自身で決める善悪で行動して学んでいく。

様々な場所や人に出会って、世の中の”常識” 以外の知識を急速に吸収して大人に近づくベラが、自分自身で構築した価値観で冷静に世の中を見つめる姿にとても惹きつけられました。

ベラを取り巻く人々など、
まだまだ書きたいことはある。

でも終わらなくなるし書く時間もないのでこれくらいで止めておきます…笑

ランティモス監督はいつも奥深く面白い内容と魅力的な映像の映画を見せてくれる。これからも監督が作品を発表する度に、私は観に行くことと思います。

監督が映画化を直談判にし行ったという原作本も購入済なのでこれから読むのが楽しみ❤️‍🔥

素晴らしい人間讃歌でした‼︎‼︎

人気女優エマストーン、賞レースに軒並みノミネートで話題、幻想的なビジュアルにつられてランティモス作品を知らずに観に行った人が、口をあんぐりさせて観てしまうのではないか…とも思うけど、それはそれで劇中のベラを取り巻く人々のようにベラに振り回されつつも新しい何かを得てくれるといいなー思います✨ 
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