千恵

哀れなるものたちの千恵のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.7
ヨルゴスランティモス大好きなので
公開前からめちゃくちゃ楽しみにしていた

エロスとタナトス
人間の尊厳と自由
女性の独立と自由意思 etc……

今までのランティモス作品もこれらのことをテーマにしてるから目新しいテーマではないが
撮影、音楽、衣装ぜんぶ良くて映画としての満足度がかなり高かった

衣装が本当にかなり可愛くて
ここだけでも大衆受けがかなりしそうなので
のちのちオマージュやアイコン化していく作品にもなりそう
衣装の何が良いって
旅をするベラの服のコーディネート!!!!
ちゃんと旅をしているので最低限の服たちで
いろんなコーディネートを見せてくれる
あ!この服あの時着てた服だ!とか
またこの組み合わせで来てる!お気に入りなのかな!とか
そしてベラのミニ丈のこだわりや
そのミニ丈によって時代が曖昧化していくのもいい

序盤の幼児?パートは
たぶん親になったことある人ならわかる面白さというか
親目線で見てしまうというか
バグスターとメイドさんとのやり取りに
クスッとしつつも微笑んでしまう

1人の人間の成長を描いてはいるものの
これまでの人間史を見ている気分にもなる
ベラのことを大好きになって
他の登場人物たちがベラに夢中となっていく気持ちがわかる
そしてベラの成長に勇気をもらう

めちゃくちゃ好きなのがやはりハリーとの出会い
ベラのことを性対象と見ないハリー
この存在って現実世界でもめちゃくちゃ大きい

ヨルゴスランティモスの性描写って基本的にエロくない
今回ベラは悦というものを感じていたけれど
エロいというよりも
"エロス(生と性)の目覚めと理解"というものだったので
よくある「必要のない性描写」ではないので
性描写が多いからといって敬遠してしまわないでほしいなと思っている

元夫に会うシーンからは
出てきた瞬間、蛇足では…と思ってしまったが
ラストシーンを見て
ああ、ヨルゴスランティモスだ……となったので
あれの前振りだと思えばカタルシスさえ感じることができる

お願いだからグッズをもっと作ってください
千恵

千恵