いとまど

哀れなるものたちのいとまどのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

なんて哀れで愚かで美しいんでしょう!
生きる喜びを全身で享受している姿、好奇心がみなぎる瞳、徐々に確立されていく自我。
可愛らしくて豪華な美術や衣装に、不協和音のようなゾワゾウする劇伴。絵本のような雰囲気を纏いながら、ジェンダーや社会への問題提起が盛り込まれてて、とんでもない作品でした。ベラは常識に囚われず、まっさらな視点でいろんな物事に興味を持ち「なぜ?」と追求し、体験を経て学びを得る(SEXですら学びの対象としてダンカンにレポする。笑)
YouTubeにあるようなエロやグロといったキャッチーさを全面に出した感想はすごく苦手で、全体としてみたら寓話の1ページにすぎないと思ってる。まず、旅の始まりで色付く瞬間が騎乗位ドーン!なの最高すぎる。熱烈ジャンプ。太ももsoft入れ墨。いいじゃないの。ようこそ世界へ。
ダンスシーンも好きだった。初めての世界での体からみなぎるようなダンス、それを抑圧するようなダンカンとのコンビネーション。このシーンだけで2人の関係性が見て取れる。
男たちはというと、皆なにかに囚われていてどこかしら哀れ。旅の途中に出会う女たちは、大雑把に言うと姉御肌で不思議な品があった印象。
モンスターのようなゴッドによって生まれた、これまたモンスターのようなベラ。生は魅力的だから許すって、それはゴッドの行動もだけど、いろんな経験をして世界の不条理も生きることへの魅力を知り、自分のアイデンティティも受け入れたからこその発言って考えると感慨深い。
最終的には王道の父娘の家族愛もあり、ストレートに泣いてしまった。

「私は新しい私とクリトリスを大事にする」っていうセリフ、めちゃクールでいて映画の総括のような気もする。
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