マチャアキ

哀れなるものたちのマチャアキのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6
どこか絵空事のような世界観とストーリー

奇想天外、怪奇に満ちた生立ちの女性ベラ。彼女の欧羅巴大陸横断で駆け巡る舞台はロケ地ではなくセット。それも見てまわれば30分かかる複雑怪奇な広大すぎる美術館ともいうべき力作。よく東京ドーム何個分って比較したがりますが、そういう薄っぺらい次元ではないということ。その世界観で映し出されるベラの生き様も堂々と負けていないオーラで包まれている。全く持っていい意味でのサブイボ🐙が立つ恐怖を味わった。訳あって大人ではあるが幼児の様な振る舞いを見せるベラの成長を周囲の視線が追っていくー。

この作品を観終わると同時に3つの作品が頭を過ぎる。なんとも言えない恐怖は「ゴドーを待ちながら」、主人公の終盤の心情は「エクス・マキナ」、意外にも脳関係で真面目な作風「時計仕掛けのオレンジ」。特に時計仕掛けは半世紀前のもの。その凄さを改めて痛感する。恐るべしキューブリック監督。

エマ・ストーン氏の魂を震わす所作は見事としか言いようがなく、彼女が製作に関わりたいのも納得だ。50年、100年後、美術館常連作になっているに違いない。
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