あおたん

哀れなるものたちのあおたんのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3
すごい映画を観た。脳みそぶん殴られる感じ。

まず、主演のエマ・ストーンの演技力の素晴らしさ。物語の冒頭では完全に幼児の動きなのに驚異的なスピードで精神が成長し物語の終盤では成熟した女性になるんだけど、その表現がシームレスすぎて全く違和感がなかった。どうやったらあんな演技できるんだ恐ろしい。

普通だと身体の成長と精神の成長が一致してるから物事の良し悪しや、一般常識を身につけつつ社会に適合していくけど、成熟した体と未熟な脳のベラにはその過程が欠落してるから肉体の快楽とその時に感じたことに忠実で感じたことを感じたまま表現してしまう。セックスは気持ちいいから好きだし、くだらない話をするおばさんは嫌い。美味しいものはお腹いっぱい食べたい。自由すぎるベラに対して最初は面白半分で近いてきたダンカンが逆にどハマりしてしまう様があまりにも滑稽で笑える。

路銀が尽きてパリで娼婦になるのも、セックスが女も男も一番無防備で本能剥き出しになる行為だし、色々な立場の人との対話(肉体関係含む)を経験することでベラの経験値が一気に上げるためには必要不可欠なエピソードだったのではないかと思った。

ロンドンに戻りマックスと現実的な生活をしようとした後からのクライマックスが爽快。自由な精神と知性を持つものが一番強い。

映像、音楽、カメラワーク、コスチューム全てが洗練されていて美しく強烈なメッセージが心地よい。いやーまたいい映画観ちゃったな〜。
あおたん

あおたん