あおたん

ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスターのあおたんのレビュー・感想・評価

3.9
The Power of the Dogで初めてカンピオン監督の名前を知り、カンピオン監督と言えば必ず作品名が上がる本作。

自分の意思で6歳から言葉を話すことを辞めたエイダ。言葉の代わりに雄弁にピアノで感情を表現する。意志の強い瞳。でも時代は彼女が意思を貫くことを許してくれない。一人娘の父親のことはほぼ語られないけど、多分許されない相手だったんだろうな。

ベインズはどこまでも彼女の意思を尊重して距離を縮めてくる。正直ピアノを人質代わりにされてるから断れないと言うのもあっただろうけど、嫌ならエイダがベインズの元を訪れなければ良いだけの話だしね。

ピアノを海に沈めるシーン、あそこでエイダは一度死に生まれ変わったんだと思う。
終始硬い表情だった彼女が最後に見せた柔らかい表情が印象的だった。

カンピオン監督の描く自然の映像は本当に素晴らしく、荒々しい波、森に降る雨、小屋に差し込む陽の光、映像の隅々にまで神経が張り巡らされている。静謐で荒々しい。
映画館で観れてよかった。
あおたん

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