ブラックスワン

哀れなるものたちのブラックスワンのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

 予告編を観た時から観たい映画では決して無かった。主人公ベラの顔が変だったし、着ている服がダサくて変だったし、フランケンシュタイン映画みたいだと思ったし。観なくて良い映画のひとつと位置付けしていたはずでしたが、何故か急に観てみたくなって観たら凄く良かった。というお話しです。騙されたと思ってぜひ観てください(笑) おすすめします。
 何が良いかというと建物や客船や街がまるでガウディの建造物のようで素敵、特に客船がわたしはお気に入り。往年のジブリ作品の想像力で造られたお城のようにノスタルジー溢れた豪華でお洒落な客船。マジで乗って旅してみたいです。
 そして素敵なのは主人公ベラの成長。ベラの身体は飛び降り自殺したとある女性だったが、死体となって博士に回収された時、頭にはベラの胎児の脳が移植されてしまった。身体が大人で頭が子供というアンバランスな生き物として改造されたベラ。そうしてベラの奇行が始まるがそれらがすべて成長するということや愛を知るということであった。ベラを演じるエマ•ストーンは明らかにベラの成長に伴って人格に徐々に深みを与えていった。変わっていくエマ•ストーンの自然な演技が素敵。知性や人格が表現されて加えられて行くのが自然に分かった。単に手足の長くて綺麗なお人形さんのような女優さんだけでは有りませんでした。
 似ている映画としてあがっていたチリのフランス国籍の監督アレハンドロ•ホドロフスキーさんの『エンドレス•ポエトリー』気になったので観てみた。「詩人であることを選択して商売人としての親と決別する」自身の自叙伝のような映画作品。表現の違いはあれど『自由に生きる』という強いメッセージが根底にどちらもあるように感じた。
 力強くて美しい、コメディでファンタジーな秀逸SF映画作品。2024のアカデミー総なめに獲っても良い感じ。(11部門にノミネート2024/2/3時点)
 
 
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