n

哀れなるものたちのnのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
-
おもろい。

とある映画監督がインタビューで「映画には社会学が必要」って言っているのを読んだことがあって、自分もよく考えてたことなので強く頭に残ってるんだが、まさにそれを体現するかのような。ベラの「子ども視点」によって、生活の中に紛れている社会学(主にジェンダーであることは言うまでもないが)の諸々の要素がストーリーの形で炙りだされ、揺さぶられるという。

ただ、この超面白くてかつわかりやすいと思えるこの映画でさえ「何を言ってるかわからない」という人が一定数いるのも事実で、つまり「何を言ってるかわかる」人には再確認でしかなく、言う意味はあんまりないという。だからつくづく映画には「人(の思想)を変える力はない」という思いを強くするなど(「映画で〜の現実を知ってほしい」みたいなことを言う"社会派"の人々は少なくない)。

しかしもうケアの問題はほんとにいまの映画の中心を占めているな。いかに他人と向き合うのかという。ベラはまず真摯に「対話する」ということを譲らない。人としてああいたいとは思うが、難しい。

ここサラっと読んだ限りあんまり言及されてないみたいだが、これマーク・ラファロの歴代ベストアクトではないか。爆笑したわ。マジで最高。こういうなんとも情けない男ができる俳優が一番デキる俳優だと思ってる。

『バービー』がアカデミー賞入らなかったとかで騒いでたが、この映画観たらなおさら当然じゃん?って思わんでもない。同じテーマを含んだ映画として比べたら、画面は言わずもがな、脚本にしてもレベチなのは明白なわけで。
n

n