ハレルヤ

哀れなるものたちのハレルヤのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
天才外科医ゴッドにより死んだ状態から蘇生したベラと名付けられた若い女性。胎児から脳を移植された彼女は、体は成人でも知能は新生児。弁護士のダンカンに誘われて、大陸横断の旅に出る決意をし、貪欲に多くの事を学んで成長していく物語。

ギリシャの奇才ヨルゴス・ランティモス監督最新作。現在公開中で話題沸騰中の本作。この絶賛の嵐を見て鑑賞意欲が高まり、上手いこと劇場の公開時間とタイミングが合ったので見てきました。

あらすじだけでも十分ブッ飛んでいるのに、その内容も当然ブッ飛んだもの。監督の他の作品を見ている方なら大体一筋縄ではいかないと分かるはず。

見た目は大人。中身は子供。名探偵コナンの逆かよと言いたくなる本作の主人公ベラ。最初はまさに幼児のように振る舞う彼女が、時間の経過と共に他者との関わりから人間社会、貧富の差、性についてなど理解を深め、語彙力も上げていく。

まさにベラを演じたエマ・ストーンの独断場。本作の製作にも携わっているだけに、彼女の本気度が伝わってくる演技でした。他の映画でも見たことのないような役柄。これはオスカー受賞も期待できると思えるほどの名演。

ドクズな弁護士ダンカン役にはマーク・ラファロ。こんな役も見事にこなすし、ベラの親代わりを担ったゴッドのウィレム・デフォーの存在感も秀逸。

凝りに凝ったカメラワークは間違いなく劇場映えするし、モノクロの序盤から旅に出てからのカラーに切り替わる演出もその色彩効果を一層強く感じるもの。2時間20分とにかく魅せられます。

劇場で見れなかったら配信でも良いかと思っていましたが、これは劇場で見るべき映画。没入感が半端無かったです。人間の本質を突いたテーマも見所ですし、最後まで目が離せない展開も流石でした。

監督の過去作と比べてもかなり見やすかったですが、それでも見る人を選ぶ作風はキチンと貫かれています。オスカー11部門ノミネートでどれほど受賞するのか。3月10日を楽しみにしたいと思います。
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