哀れなるものたちのKoishiのレビュー・感想・評価

残酷で美しい大人の童話。映像の質の高さと人間の本性を包み隠さず表現するえげつなさのバランス感覚が絶妙で、救いようのない話なのにも関わらず何度でも観たくなる不思議な名作だった。一見すると19世紀末英国ゴシックに見える世界観もよく見ると無国籍・近未来的で、SFやファンタジ－好きとしても大満足。主人公は駆け足で心理的発達を遂げるけれども、基本はマズローの欲求階層説に従って成長しているので、奇抜に見える設定でも地に足がついたように見えるのかなと思った。