背骨

哀れなるものたちの背骨のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.4
ベラが美しくて見惚れてしまう、生が自分自身に段々迫ってきては、スピードに乗り切れず追い越していってしまう感じがなんとも言えない。理解するのにも時間と忍耐、経験が要る。

所詮人は動物のようなもの、醜い生き物であると再自認する。
途中船のシーンで出てきた黒人が放った、『真実で自分を守るしかない』って言葉、その前後の哲学を否定しちゃう台詞、めちゃくちゃ響いたな、人間は醜く、味方するものや信条は結局自分で習得しなければならない。自分の言葉と思想と心で。あのシーンの言葉だけで映画の意味が成り立つくらい、説得力があった。皆が、人間が、哀れなるものたちであることは確かなのだと。

全体的に心地良いくらいの不協和音のようなサウンドも相まって台詞に緊張感も出る。嘘みたいに奇妙な空や海と階層街、馬鹿みたいに暑苦しいセックスが対比されてて好きだった。皮肉にも肉肉しく憎々しいエンドだった。
ただ好みは分かれるだろうな。
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