しいだけるん

哀れなるものたちのしいだけるんのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8
過去にとらわれずゼロベースでものごとを考えようぜ、というのがビジネスの世界ではやったことがある。

本作はまさにそれ。

世の中の因習の嘘くささを炙り出すために、ベラというゼロベースの存在で世界を撹拌し、根拠なき価値観を否定し再構築していく物語だ。

ベラの前では男性の尊大さも習慣のタブーもセックスのタブーも彼女が評価分析していくプロセスの一部でしかなく、なのでそれらタブーも陰湿ではなくリアルにかつなんとも美しい映像で描かれていく。

そして、ラストのきらびやかな衣装からシックな装いに身を包んだベラの姿は、世界への理解達観を象徴しているのだろうと思う。

長尺を全く感じさせない、久々に重~く楽しめる映画だった。