みっく

哀れなるものたちのみっくのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

外の世界が見てみたいと感じたり、自然と性に興味が湧いたり、知らないことを知りたいという好奇心が芽生えていくものだなと思った。
ヨルゴスランティモスの過去作『籠の中の乙女』にも通ずる部分だと感じた。

前半はモノクロの映像で展開していくのだが、ベラが初めてセックスをしたところからカラーになるのが印象的。
人生のなかで「なにか」を経験する以前と以後では世界が違って見えるものがあるが、ベラにとってその「なにか」はセックスだったのだろう。

やるだけやって俺に惚れるなよというエロおやじダンカンが船旅をする頃にはベラにメロメロになり、パリでは見放される。
そして、まだいたのかよ!と笑ってしまうほどのタイミングで「ベラァァ〜〜〜」と泣いて現れるところがなんとも滑稽。

本を読んで成長していくベラから本をとりあげるダンカン。
結局自分より賢くない女が都合がよくて、可愛い存在なんだろう。
ダンカンが本を投げ捨てた直後に笑顔でもう一冊差し出すマーサが爽快でよかった。

娼館で私にはセックスとお金が必要と言って働き始めるベラ。
自分にとって何が必要かを自分で判断して自分で行動していく姿に、どんな選択であれベラの成長を感じた。

娼館のなかでもどんどん成長をとげていく。
最初はたどたどしく歩いていたベラが、成長して大人の女性としてしっかりとした足取りでキリッとした表情でゴッドの家に帰るのは感慨深かった。

それから変態的なキメラ動物にゾクゾクしてしまった。
後半、ベラの夫の手術シーンでヤギがアップになるのだが、ああーヤギの脳みそを入れられるんだな〜と思って笑えた。
案の定、ヤギの行動をしている夫が登場するラストシーンは爽快だった。笑

そして衣装、インテリア、装飾、街並みなどビジュアルがとても素敵だった!
全体的にヴィクトリア朝の雰囲気なのに、宙に浮く乗り物が出てきたり、時代感が揺らぐ感じが独自の世界観を作り上げてて素晴らしかった。
絶妙なパーンや魚眼レンズ使いもよかった。

父性、監禁、変な動物の使い方、ダンス、グロさ、性の扱い方がヨルゴスランティモス印なのだが、一方で監禁からの開放やある程度いろんなことが決着がつくラストなどは新しい感じもした。

何回も観たい映画。
みっく

みっく