このレビューはネタバレを含みます
今のところ今年ベスト!
主演女優賞はマジでエマ・ストーンに獲って欲しい!!
リリーグラッドストーンも良かったけど、露出時間的に個人的にはエマ・ストーンに軍配が上がります!
この映画の素晴らしかったところはいくつかあります
まず、圧倒的な世界観の作り込み
この奇妙な世界観をここまで作り込んでいることがまず素晴らしい!
アヒルイヌもイヌアヒルもそこにいて不自然でないし、ベラが巡るとんでも都市も「そういうもんだよな」って思わせる説得力がありました!
映像技術や建築美術もそうですが、衣装も素晴らしかったですね。
バービーという強敵がいるものの衣装や美術もアカデミー賞獲ってほしいところです
次にエマ・ストーンのベラがとんでもない
ベラは成人女性に胎児の脳を移植したキャラクターです。
物語が進行するにつれ、スポンジのように学び急速に幼児から自立した女性へ成長していきます
この演技ってきっと演者としてはとんでもなく難しいことを要求されていると思うのですが、見事に正確に演じたエマ・ストーンが本当にすごかった!!!
冒頭は幼児にしかみえないのですが、章が進むごとに本当に成長している!
エマ・ストーンは今追いかけるべき女優のひとりに間違いありません
そして、女性の描き方について
近年の傾向としていわゆるフェミニズムや。ポリコレがありますが、その中のいくつかは傾倒しすぎるがために作品として面白くなくなってしまったり、既存の作品を破壊したりするものがありますが、本作は完璧なアンサーではないでしょうか。
本来はこの様な作品を作っていくべきだと思います。
本作はこのあたりが非常にわかりやすいにも関わらず、それが特出していない。おそらく、特異な空間がそうさせる要因のひとつではないでしょうか。
ベラは好奇心から性の喜びを知り、知識と世界のあり方を学び、考えを確立させ、自らの生き方を選択していく。その一方でマーク・ラファロ演じるダンカンはベラから本を取り上げます。ダンスシーンでは一人で奔放なダンスをするベラをなんとかペアダンス(型にはまったダンス)に落とし込もう必死です。金と社会的地位を重視する男性性の象徴のようなキャラクターです。
ベラはそんなダンカンの思うあるべき女性像から離反し、自立した女性として歩み始めます。
また、ウィレム・デフォー演じるバクスターも当初はベラの世界を閉ざしいつまでも幼く庇護すべき存在として置きたがってました。結局送り出すもののベラ2号つくってたあたり同じことをしています。これも悪い男性像です。ベラはラストでは父親だったバクスターを迎えに行きます。まるで庇護者のように。
そして、クリストファーアボット演じるブレシントンはベラの生前の夫で彼もまた支配欲にまみれた人物でした。生前のベラは身投げをしましたが、改造後のベラは0から学び自分の考えを確立させた女性になっているため、彼に反発します。やはり育つまでの教育や周りの環境、こうあるべきという男性に都合のよい女性像というものが男性優位の世界を助長しているのでしょう。
婚約者のラミーユセフ演じるマックスは幼児の脳をもつたベルに惚れる弱い男性です。弱いがゆえに脳が幼児の女性であれば、モノにできるのではと考えた愚か者です。結局はダンカンに奪われます。成長したベラと再会した際にはもはや自身より強い女性になっていました。
ベラを取り巻く有害な男性は現実においてもたくさんはびこっているのでしょうね。
哀れなるものたちとは誰だったのでしょう。
望まぬ改造を受けたフランケンシュタインの怪物ベラでしょうか。
庇護欲にかられたバクスターでしょうか。
ベラをそばにおいておきたかったのにダンカンに奪われた弱者マックスでしょうか。
ベラに乞う姿が明らかに哀れだったダンカンでしょうか。
それとも、まさかの最後を迎えたブレシントンでしょうか。
追記
エマ・ストーン!主演女優賞おめでとう!!!!!
めちゃくちゃ嬉しい!