竜泉寺成田

哀れなるものたちの竜泉寺成田のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
ヴィヴィッドでショッキングな色使いや、魚眼レンズなどを利用したユニークな構図、不協和音からなる不思議なBGMどれを取っても抜群の演出であった。
プロットも目を離せない目まぐるしい展開が続き、エンタメ性も高い。非常にレベルの高い作品であるのは間違いない。
ただ、メッセージ性というところで言うと、少し疑問が残ってしまう点もある。
フェミニズム的文脈から考えてみると割と直球の女性礼賛であり(無論皮肉めいたところはあるが)、個人的には男女ともに相対化を行うことで現代社会の現在地を示した「バービー」の方がメッセージとしては進歩的なように感じた。
また、頭脳は子ども身体は大人といういわゆる「おとなこども」の設定は日本でも昨年公開された「悪い子バビー」とも被ったが、それと比較するとベラの倫理観獲得プロセスに飛躍が見られ、やや都合よく感じてしまった点も個人的にはうまくのめり込めない要素であった。
とはいえ、エマ・ストーンはじめ役者陣の演技はものすごいものがあったし、エンタメ的な楽しさもしっかりと担保されているため、賞を総なめしているのも納得。
竜泉寺成田

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