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哀れなるものたちのRYOのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

エマストーンのファンでアカデミー賞主演女優賞を受賞した作品という事で映画館では見れなかったがDisney+で配信という事ですごく楽しみにしてた。
エマストーン自体は「A・スパイダーマン1&2」・「LA・LA・LAND」しか観ていないのだが彼女の演技力が作品毎にどんどん魅力的に感じ次はどんな風に魅せてくれるのかワクワクしていた。

視聴開始すぐにこの感情は砕かれ
頭の中がパニック状態に陥った。
何と奇怪でクセの強い作品なんだろうか。。
正直この作品を理解するのは自分には無理じゃないかとちょっとショックを受けた。

視聴後、時間をかけてこの作品を理解するために他の人のレビューを読んでみたりして落とし込んでみた。

この作品は直接的に見ると
フェミニズムを訴えるような構成になっていて
女性が生き辛い世の中をベラは懸命に生きていく物語に見える。
しかし、それはこの作品の一面であり
多角的に見る事によってこの作品の見え方は変わってくる。

「哀れなるものたち」
とは誰を指してるのか?全体なのか単体なのか?
ひとつの答えとして印象的なのは
ダンカン・ウェダバーンという人物。
彼はベラに旅に行くキッカケと性への好奇心を与えた。
このダンカンはベラに対して遊びの付き合いをするも
途中から本気になり気を引こうと躍起になるが相手にされない。
その一部始終が滑稽に表現されている。

ベラと関わった人が
ベラが見ている人が

「哀れなるものたち」

という事だろう。

この作品は
性によるフェミニズムや男性の醜態をコメディとして表現している。これだけでも奥深さを感じるが、
このような部分以外にも魅力的な一面がたくさんある。

序盤はモノクロで始まり、
ベラに外の世界への好奇心が芽生えると
白黒の表現から色鮮やかな表現へと切替わる。
そしていざ、冒険が始まると
特徴的で独特な街並みが出てくるが
それはベラが見ている世界。
彼女の見る世界は
色彩豊かな美術や芸術、
スチームパンク調であったり
貧富の差を穴と崩れた階段で表現していたり
花の都も彼女には廃れた街に見えている。
見てる側は印象に強く残る事だろう。

そして彼女の成長と共にそんな街並みが普通になってくる。
これは彼女の精神が大人として成熟した事を表している。

この作品を見て始め理解が出来ないと感じ今はこの作品を深く知りたいという好奇心に変わっている。
ここまで考えさせられる作品はないなと嬉しく思う。
でも、本当に理解出来るとは思えない。
自分も「哀れなるものたち」の1人だから

間違いなく心に残る一作になると思う。
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