わか

ブルーを笑えるその日までのわかのレビュー・感想・評価

ブルーを笑えるその日まで(2022年製作の映画)
4.3
願わくば中学生時代にこの作品を観たかったな。

かつて人間関係に悩んで大人に相談した時、「学校だけが全てではないから」と言われたことがある。
広い世界を見ろってことと、そんな狭い世界なんかで悩むことないよって意味だったんだと思うけど、中学生からしたら学校が世界の大半であって、つまりは時間が解決するから今は耐えなさいって言われてるようで、どうしようもなく途方に暮れたのを覚えてる。

そんな時期をうまく乗り越えられた人もいるだろうし、もちろんそこでどうすることもできなかった人や、耐えたけど今なおその当時のことをずっと引きずってたり、背負っている人もいる。

この作品は、「今」そんな辛い経験をしている子に向けて作られている。

表現が正しいのか分からないけど、全編通して主人公の女の子が成長するとか、何かを乗り越えるとかはなく、辛い現実に目を背け、逃避し続ける物語だった。

ただ、勘違いして欲しく無いのは、この作品が決して逃げることがいけないということを言いたいのではなく、辛かったら逃げ出してもいいんだよと優しく肯定してくれてること。
そして、その様子を同じような悩みを抱えた、同じような年頃の子を主人公にした物語で伝えることがとても重要なんだと思った。
あと、同じ言葉でも誰に言われたかで響き方って全然違うなって再認識させられた。

物語の半分はきっと希望的観測でしかなく、現実には難しいかもしれないけど、だからこそ代わりにこの映画が寄り添うよって言ってくれてるような気がした。

この映画を届けたい相手は間違い無く子どもたちなんだけど、大人の視点から観ても、当時こんなことあったなと懐かしんだり、当時こんな風にして欲しかったなとか、はたまた今悩める子が身近にいる人からすればその子がどう悩んでいるのか知る機会になる映画だなと思った。

物語の核はとても重いテーマなのだけど、可愛らしい二人の女の子を中心に、優しくふわふわした空間がそんな雰囲気を包みこんでくれている作品だった。
わか

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