かつ

動物界のかつのレビュー・感想・評価

動物界(2023年製作の映画)
4.1
ストーリー(満点2)1.7
映像0.8
音楽0.8
プラス要素0.8

映画館で鑑賞。
近未来、体が様々な動物になっていく病気が流行。
まだ社会が対策に追われる中、発症した主人公の母親が施設に移送中、事故で行方不明になる。
その母を想う父と子の話。
設定はとても興味を引く設定。
その設定を使って描いたのはフランスらしいおしゃれ映画。
以下、ネタバレあり。





様々な動物に変異する世界になってからまだそこまで時は経っていないと推測できる。
(海外では患者に対して様々な対応をしているなどと話している為)
冒頭で描かれる救急車から逃げ出す鳥型の患者の登場は緊迫ある演出。
人々の生活の中に現れる発症した人はまだ世の中に受け入れられていない、異形の者というのが伝わる。
主人公の母親も発症しており、病院に入る前に息子は怪我をさせられた模様。
実の母親が異形の者になっていく上に理性を失うというのも辛すぎる。
母親は他の患者と一緒に施設へ移送中に車両の事故で逃げ出してしまう。
その母親を必死に探す父と探すことに熱心になれない主人公の息子。
心のどこかで見つかっても自分のことを分からない人を母親と呼ぶことに葛藤を抱いているのが伝わる。
母親を探す森の中で、冒頭に出てきた鳥型の患者と出会う。
そんな中、主人公も狼の様な特徴が発症しだしていく。
徐々に蝕まれていくのが心情の恐怖を増幅させていく。
主人公は同じ境遇の鳥型の患者と心を通わせる。
そして、空を飛べるよう協力する場面の森の映像は実にフランス映画らしい映像だった。
終盤のお祭りで同級生に発症していることがバレる主人公。
彼を逃がそうとする鳥型の患者や父親。
父親との逃走劇からの別れは、父が子を想う気持ち、愛する人全てが発症してしまった悲しみ、全てが感じ取れて胸が苦しくなった。
物語の途中で母親を森で探す車のシーンも含め、普段は意見の対立をしていても車の中ではお互いが正直になれている感じがした。

パニック映画にも出来る設定をヒューマンドラマとして描いている印象的な映画であった。
かつ

かつ