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ミックスド・バイ・エリー 俺たちの音楽帝国のIKUZAGIEのレビュー・感想・評価

3.5
結構面白かった。実話を基にしたイタリア発のNetflix映画。上映時間90分でテンポもよく、サクッと観るのに丁度いい。内容は、著作権について割と曖昧だった時代に“ミックステープ”で財を成した兄弟の話。貧乏からヤバ目の橋を渡りながら成り上がっていくストーリーはありがちとはいえ、1980年代から2000年代へと時代の変化をなんとなく知っている世代はとても楽しめると思う。
“ミックステープ”というと、1990年代頃、ヒップホップ系のDJが作るミックステープ(ミックスCD)が大層流行ってた。DJが使っている音楽(いわゆる元ネタ)の著作権については少々問題にもなっていたが、音楽業界としては原曲側が訴えなければ割と放置したりで、グレーな部分も多かったように思う。理由はミックステープが売れると元ネタとなる原盤も売れるからだ。当時私もファンクマスター・フレックスのミックステープを聞いて「この曲かっけえぇ!」と思えば、翌日には原曲の入ったCDを購入したりした。このように、ミックステープは、DJもアーティストも消費者もみんなハッピーになれるハズなのですが、本映画のように誰かが莫大な金を稼ぐようになれば、それを面白くないと思う人や、うまく利用しようと思う人が群がってくるのは業界問わず世の常なのだろう。知らんけど。
また、“海賊版”についても昔は相当曖昧でした。ド田舎の子供だった1980年代、レンタルビデオというと、近所の電気屋の一角に店主が勝手にダビングしたVHSを陳列しているという状態でした。ラベルは当然店主のお手製で、さらにビデオテープを使いまわして上書きダビングするものだから、映画のエンドロールの後に、突然店主が楽しんだであろう映像(アダルトビデオ)が始まったりして、「あそこの店のあの映画はやべえ」と友人の間で話題になったりした。(何の話や?)
洋楽ファンだった1990年代、好きな海外バンドの正規版では無いCD、例えば未発表曲やデモテープ、ライブ音源などを収録したCDを求めて、CDレコード店をハシゴしたりしていた。その頃は、海賊版の専門店があるくらい流行ってた覚えがある。なので、当時は海賊版といっても、なんとなく違法では無かった気もするが、違っていたらすいません。
2000年代頃になると、海賊版はすっかり違法になっていたと思う。ちょうどこの頃は海外在住であったが、著作権を無視した違法のDVDが大量に売られている国もあり、中には映画館で上映中の最新映画や、なぜか公開前の映画がすでに海賊版DVDとして売られていた。
最後に「ミックスド・バイ・エリー 俺たちの音楽帝国」に話を戻す。DJとは、他人の音楽を盗用しているインチキミュージシャンなのか、それとも既存の音楽を再構築したアーティストなのか。何れにしても消費者は、DJのセンスと才能にお金を払っているだけだと思うので、結局のところ良い音楽が聴ければ何でもいいんだと思う。という事で、映画面白いので興味ある方は是非。
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